
10年を超す長期の火災保険の新規受付が損害保険の各社で停止される方針が示されました。早ければ来年の秋にも受付けを停止するようですが、過去に経験したことが無いような災害が多発したことによって長期間での収支の予測が凄く難しくなったことが原因とのこと。
表向きには、損害保険会社が長期火災保険の新規受付を停止した理由には・・・「集中豪雨など」が説明に多く使われていました。
しかし、ちょっと穿った見方をする私としてはどうしても・・・「東海地震や南海地震が近いからじゃないか?」と疑ってしまいたくなるのです。NHKでは南海トラフ巨大地震の被害が甚大になるだろうという番組も放送していましたし、仮に南海トラフ巨大地震が発生した場合は経済的損失が220兆円になるという予想も出ているのだそうです。(ちなみに、最悪の場合は33万人の死者が出ると予想されています。)
もしかしたら保険会社は巨大地震が来ることを見越して・・・長期火災保険の新たな受付けを止めたととも考えられますね。巨大地震・・・近いのかもしれません。
政府も10年後までを目標にして南海トラフのための対策をとって被害者数を減らす事を考えているようですが・・・大被害を受けたあとの国土をどうするかということも大切ですよね?そこで私は、今回、関東大震災の時はどうしたのか?その時に活躍した後藤新平のような人が必要になるのではないかと思い、色々と調べてみたのです。
後藤新平の「焦土全部買上案」が凄い!
後藤新平は、関東大震災の後に内務大臣に就任し震災後の東京復興の指揮を取ることとなるのですが・・・帝都復興のための発想がとても凄かった人なのです。
その方法とは・・・関東大震災で焼けてしまった区域の全てを買収してから道路や水道や下水道を整備した後に民間に払い下げるという大胆なものだったのです。この方法を一般的に「焦土全部買上案」と呼んでいるのです。
もしこの時に焦土全部買上案が実現していたならば・・・東京はもっと機能的な都市となっていたハズなのですが、健全財政を守ろうとした高橋是清などの反対によって大幅に予算を縮小されることになります。(しかし、結果的には予算縮小がキッカケで「区画整理」という手法を初めて取り入れることになったので結果オーライという側面もあります。)
発想も凄い「焦土全部買上案」ですが、金額的にも凄まじい計画だったことが当時の政府予算などから推測できると思います。後藤新平が焦土全部買上案を実行するために弾きだした金額は、当時のお金で30億円です!当時の1年の政府予算が15億円ですから、東京だけに2年分の国家予算を注ぎ込もうとしていたわけですね。当然、周囲の反発は凄まじかったわけでして、最終的には復興予算は8億円程度まで減らされることになったのです。(これでも当時の東京市の予算1億数千万円の7年分に相当する。)
本当の意味での後藤新平の大胆な東京復興計画というものは実現しなかったわけですが・・・彼の発想が正しかったことは関東大震災から60年経った昭和天皇のお言葉が証明しているのではないでしょうか?
「震災のいろいろな体験はありますが、一言だけ言っておきたいことは、復興に当たって後藤新平が非常に膨大な復興計画を立てたが……。もし、それが実行されていたら、おそらく東京の戦災は非常に軽かったんじゃないかと思って、今さら後藤新平のあの時の計画が実行されないことを非常に残念に思います。」
第2次世界大戦の時に空襲を受けた東京では死傷者数が凄まじいものとなったのですが、もしも後藤新平が計画していた整然とした広い道路網や、避難所にもなる大きな公園が実現していたならば・・・と昭和天皇は悔やんだことでしょう。
先見性というものは、その時代の多くの人には理解されないものだということが良く理解できますね。
巨大な自然災害が予想される現代にこそ「平成の焦土全部買上案」が必要
東日本大震災の時でも後藤新平の焦土全部買上案の実行を求める声が上がりました。しかし、当然の事ながらそんな大それた事を実行できる政治家などいませんので実現にはいたらなかったのです。
しかし、昭和天皇の言葉からもわかる通り・・・機能的な都市を築き上げるというのは後世の人々の命にまで関わる大切なことなのです。もし南海トラフ巨大地震が発生した時は、(言い方が批判されるかもしれないですが)・・・その地域を機能的に作り変えるチャンスでもあるわけですね。つまりその時は、後藤新平の「焦土全部買上案」を実行すべき時なのです。
いつ起こるかわからない震災ですが・・・イザというその時に、スムーズに復興を行うためには今のうちから「平成の焦土全部買上案」が実行できる法律を創っておくべきではないでしょうか?
当然ですが、震災は起こらない方が良いのです。しかし・・・起こってしまったことは仕方がないと割り切って将来に向かって前進することができる人が政治家の中に必要なのではないでしょうか?