
東洋ゴムに大激震が走っています。原因は免震ゴムの免震データ改ざんですが・・・その原因がデータ管理をたった1人の社員に任せていたためだとしています。
免震ゴムのデータ改ざんで東洋ゴムが倒産してしまうかどうかなどは、今の時点では分かりません。しかし、信頼感を無くしたどころか・・・このようなお粗末な管理しかできていない会社は誰も相手にはしなくなることでしょう。
不正を行った社員が悪いだけであって東洋ゴムは悪くないという人もいますが、このような不祥事は会社の体質が原因であることが多いのです。つまり、東洋ゴムが会社の仕組みを変えなければ再び同じような事件が起こることになるのです。
リストラを進めすぎたことが原因?
本来であれば免震ゴムの開発やデータ管理などは複数の人間で行うべきことなのです。それにも関わらずに東洋ゴムでは1人の社員が全ての仕事を行なっていたということですが、その原因はやはりリストラにあるのではないでしょうか?
本来であれば3人でする仕事を1人でするようになれば間違いがあったとしても誰もチェックを行えなくなってしまいます。さらに、重大な仕事を1人の技術者が担当していたのでは、成功したときでも1人の手柄になってしまいますので不正の原因になりやすいという一面もあるのです。
また、社員が10000人以上もいる会社なのにどうして東洋ゴムは大事な仕事を1人に押し付けていたのかが疑問に感じますが・・・リストラを進めすぎたうえに社員教育を御座なりにしたツケが廻ってきたのだと考えられます。
技術者を育てるには金が掛かりますが、リーマンショック以降は人件費を削るのが一般化していましたので専門家を育てるための金をケチったのだと思います。
僅かな金をケチったために会社を倒産させるかもしれないような不祥事を招いてしまったわけですね、東洋ゴムは。
専門家の技術者を育てられなかった?
1人の専門家に免震ゴムのデーターを全て任せてしまうのは異常なことですが、東洋ゴムではそれが行われていました。その原因は多くの技術者を育てられなかったことにありますが、これは他の大企業にも当てはまることなのです。
専門家を育ててしまうと、その社員が不正を行なっていたとしても・・・他の社員や上司はその不正を見抜くことができなくなってしまいます。専門性が高くなればなるほどその傾向は強まりますよね。
しかしそうかと言って、社内の不正を防ごうとしたら移動人事などを多く行わなければならないために専門的な技術者が育ちにくくなってしまいます。
それならば、専門性の高い社員や技術者を多く育てれば良いと考えてしまいますが・・・それでは金が掛かりすぎてしまうという欠点があるのです。つまり、リストラを推し進めているような企業では到底できないことなんですね。
このような経緯があった結果として、東洋ゴムでは1人の社員のデータ改ざんによって倒産という可能性すら出てきてしまったのです。僅かな賃金を削ったがために会社が傾くようなことになったのですから、後から考えれば愚かな行為であったと気がつくことでしょう。
免震ゴムのシェアが低かったから?
東洋ゴムに関しては、免震装置や免震ゴムの取り扱いシェアはとても低かったようです。シェアが低ければ値引きしないと使ってもらえませんので、技術者が1人で開発したような粗末な製品を低価格で供給していたという構図ですね。
東洋ゴムのような企業が取る手段と言えば大幅な値引きや低価格化ですが、それに釣られて購入していたのが国や自治体の建物ですね。病院なども含みます。民間企業はあまり使っていなかったということですから、東洋ゴムの安い免震ゴムは危ないと民間は分かっていたのかもしれませんね。
どうして国や自治体は騙されてしまうかと言えば・・・入札という方法で購入を決めているからなんです。入札制度はとにかく安ければ契約が取れるというシステムですから、質の悪い製品でも簡単に掴まされてしまうことになってしまうのです。
国や自治体は書類さえ整っていれば簡単に騙せるということなんですね。優秀な人が集まっている団体とは思えない理由ですね。
コストを削りたい自治体が、コストを削って作った東洋ゴムの免震ゴムを使ったのですから自業自得ともいえるかもしれませんね。
国が認定した責任はどうなる?
ここで問題なのは、東洋ゴムのデータ改ざん免震ゴムは国の認定をキチンと取れていたことだと思うのです。インチキな製品が何故国の認定を取ることができたのでしょうか?仮に認定が下りたのであればその製品はインチキではなくてちゃんとした製品だということになるのではないでしょうか?
今回の事件では東洋ゴムが責任を取る一方で、国土交通省や免震構造協会も責任を取らなければならないでしょう。ちゃんとした仕事をしていないことが証明されてしまったのですからね。
国土交通省の住宅局建築指導課は「自分達は仕事をきちんとしている。」と言い訳しているようですが・・・書類を右から左に流すだけなら誰だってできますし、きちんと仕事をしていても不正な製品が世の中に出回るのであれば、そもそも評価と認定の仕組みすら必要ないと言っているのも同然ですよね。
東洋ゴムの免震装置と似たような事件は多いのです。
今回のような倒産の可能性が高まるほど信頼性が失われるような事件というものは過去に多く存在していました。
東洋ゴムでも、平成19年に断熱パネルの耐火性能データを偽装していた事件がありました。だからこそ今回の事件でも1人の社員が原因なのではなくて会社の体質が原因だと言えるのですね。
東芝の場合では、研究データーを流出させた派遣社員がいましたし・・・ノバルティスファーマでは薬の臨床データを改ざんしていましたよね。
どれもこれも人件費を浮かせるために大切な仕事を派遣社員や1人の社員に押し付けた結果だと言えるのではないでしょうか?